卒論・レポートに役立つ!?メイキング・オブ・『ゾンビ学』(「第2章」)方法編
- 2017/05/29
- 09:52
「はじめに」「第1章」では、
本書を書くに至った動機や、
本書の目的、背景、
そして、先行研究の整理、
などについて書かれていました。
この記事では、
『ゾンビ学』(人文書院)の
「第2章 フレームワーク・オブ・ザ・デッド」
について説明していきます。
論文やレポートでは、
「方法」と呼ばれるセクションになります。
本全体との関係を
常に意識してもらうために、
章立てを再掲しておきますね。
**********
はじめに
第1章 ゾンビ学入門
第2章 フレームワーク・オブ・ザ・デッド
第3章 ゾンビの歴史
第4章 マルチメディア・ハザード
:メディアの発展とゾンビ・コンテンツ
第5章 ゾンビとゲーム
第6章 日本のゾンビ文化考
:りびんぐでっど in 日本
第7章 ゾンビの特徴とその進化
第8章 ゾンビと日常/非日常
第9章 地獄の歩き方
:ゾンビと空間・場所・時間
第10章 ゾンビ/人間
第11章 死霊のたびじ
おわりに
**********
第2章では、
『ゾンビ学』において、
どういう方法を使って
対象を分析していくか、
を具体的に書いています。
論文やレポートで「方法」を書くように、
と言われたら、自分の論文やレポートを
書く際に、どのような方法を使ったのか、
を書かねばなりません。
「鉛筆で書きました。
原稿用紙に。」
「私は、図書館にいって
パソコンで書きました。」
「俺は、スマホ」
「夢の中で…」
「とりま、コピペで」
「それな」
「それな」ではありません!!
コピペはいけませんよ。
コピペは!!
「方法」と言っても、
何を使って書いたか、
どこで書いたか、
といった方法ではありません。
論文で研究する対象について、
どういう方法を使って
分析、考察をしていくのか、
ということです。
第1章でも書いていますが、
たとえば、「紙を切る」という課題に対して、
どんな方法があり得るか、
これを考えると分かりやすいです。
「紙を切る」ためには、
どんな方法があるでしょうか。
シンプルに手で切る、
道具を使ってハサミで切る、
カッターナイフで切る、
シュレッダーを使う、
チェーンソーを使う、
コンピュータを使う…。
チェーンソー?
コンピューター?
また冗談を…。
と思われるでしょうか。
でも、もしかすると、
紙は紙でも、
ものすごく分厚いものかもしれないのです。
厚さ1mでしたら、素手やハサミ、
カッターナイフなど
ちゃんちゃらおかしい、わけです。
そこで、チェーンソーですよ。
おお、これは切れそう!!
ですよね?
では、コンピュータは?
切るべき紙は、
プログラムで作られた
コンピューター内の「紙」かもしれません、
そうすると、素手からチェーンソーまで、
物理攻撃は意味をなしませんね。
コンピューターそのものを
破壊することはできるでしょうが、
そうすると紙は
「切れた」
というより
「消滅した」
ことになるでしょう。
コンピュータ内の紙は、
コンピュータのプログラミングで
切る他無さそうです。
一休さんのとんち話
みたいになってきましたが、
この比喩には、
研究の「方法」についての
エッセンスが詰まっています。
方法は、研究の目的と対象によって、
設定されるものなのです。
たとえば、紙を切る目的が、
子どもを喜ばせることだとしましょうか。
厚さ1mの紙を
チェーンソーでぶった切ったら、
子どもは喜ぶでしょうか?
ぎゅい~んっと。
お子さんの性格によっては
大喜びかもしれませんが、
ちょいとリスクが高そうですね。
音がうるさいので大泣きの可能性もあります。
また、厚さ1mの紙とチェーンソーを
常備している人なら良いですが、
そうでなければ、
それらを準備する必要もあります。
どうも、一般的な方法とは言い難そうですね。
あまり推奨できそうにありません。
そして、何より、
周りの常識的な大人に止められるでしょう。
この目的を達成するために
妥当な対象と方法として、
以下のものが考えられます。
市販されている色紙を用いて、
ハサミを駆使し、
ネコや犬などの
わかりやすい形に切ってみせる、
というのはどうでしょうか。
これなら素材や道具の入手可能性も高く、
技術的にもなんとかなりそうですし、
子どもを喜ばせる、
という目的も達成できそうです。
ちょっと角度を変えて、
使う道具や手順を
変化させてみましょうか。
まず、
紙にかわいいネコの絵を描きます。
ここに取り出したるは
シュレッダー!!
これを使って、
ネコを描いた紙を切ります。
ざざざーっと。
もはや何が描いてあったか
わからないほど、
バラッバラです。
子どもが泣くわ!!!!
ということで、
研究を実施する際には、
研究の目的に合わせて、
最適な対象を、
的確な方法で分析する必要がある、
ということがご理解いただけたでしょうか。
ゾンビ学全体の範囲としては、
第1章で、かなり広いことを確認しました。
ゾンビの存在についても、
現実的存在、虚構的存在、概念的存在
が考えられました。
第2章では、
コンテンツで描かれるゾンビをメインに
分析していくことを述べています。
虚構的なゾンビ(人を食うゾンビ)
をやっつける方法とか、
ゾンビから身を守る方法とか、
そういうことを研究したいのだ!私は!!
という人もいますよね。
私も、大変関心があります。
でも、この場合、方法はどうしましょう。
最適と考えられる方法は、
生きているゾンビ
(死んでいるので、動いている?かな)
を用意し、少なくも街一つくらいは
ゾンビだらけにしていただいて、
その中で、サバイバルしてみる
というものでしょう。
この方法で得られた結果を論文や本にまとめれば、
素晴らしい成果になりそうです♪
読んでくれる人間が生き残っていれば、
ですけどね!!
この方法は、周りの人に迷惑をかけすぎです。
人間が滅亡する可能性すらあります。
そもそも自分も生き残れる保証がなく、
研究成果が出ない、可能性も割と高いです。
では、どうするのか、
虚構的な(人を食う)ゾンビが存在したと仮定し、
シミュレーションをしてみる他ありません。
その際には、災害対策や防犯、
ゾンビは人間の形をしているわけですから、
対人間相手の格闘術などを応用できるわけです。
こうした知見を応用して、シミュレーションをする、
このような方法で、研究できますね。
そうした成果が書かれているのが、
『ゾンビ・サバイバル・ガイド』(エンターブレイン)
です。
『ゾンビ学』では、
主にコンテンツ内のゾンビを分析していきます。
そのための方法が書いてあるのが、
第2章というわけです。
方法を書く時に重要なのは、
「読んだ人が、その方法を
自分でも実施できるように書く」
ことです。
何故かといいますと、
それが書かれていなければ、
著者以外の人間が、
研究成果が正しいか、
試してみることができないからです。
たとえば、
私が
「私は、ゾンビの製造方法を発見した。」
「このゾンビを活用することで、
エコな発電を可能にした。」
と主張したとしましょう。
まぁ、きっと、
世界中が注目しますね。
すみません。
ノーベル賞候補になっちゃうかもしれません。
ですが、良識的なある人が
「そんなこと本当にできるの?」
「どうやったの?」
と疑問に思ったとします。
あるいは、
「それはすごい。わが社で商品化したい」
「国策としてゾンビ発電に予算を投入したい」
と考える人が出てきたとします。
私に
「どういう方法で作れたのか」
と問い合わせるでしょう。
その時、
「それはね、
ひ、み、つ!!!」
とやってしまうと、
まぁ、総スカンですよね。
そもそも、本当にできたのかよ、
ということになって、
物をぶつけられるでしょう。
そういうわけで、
方法では、読んだ人が同じやり方で
再度正しさを検証できるような
記述をする必要があります。
「第2章 フレームワーク・オブ・ザ・デッド」では、
ゾンビ・コンテンツの分析枠組みとして、
●時間の推移
●空間とその移動
●キャラクターと社会の変化
を設定しました。
ここに注目して分析してみましたよ、
ということですね。
さらに、第3章以降の章が、
どのように展開していくのかも書いています。
第3章では、
ゾンビの歴史的変遷について整理しました。
歴史的変遷について整理すると、
ゾンビが広く知られるようになっていく際、
様々なメディアが登場し、
それぞれで特徴的な発展を遂げていました。
また、ゾンビ・コンテンツは国や地域を超えて
拡がり、それぞれの文化と融合して、
新しいものが出来てくることが分かりました。
このことから、
第4章では、
コンテンツを流通させる「メディア」に注目をし、
それぞれのメディアとゾンビの関係性を考えます。
第5章では、
メディアの中でも「ゲーム」に絞って、
ゲームとゾンビの関わりについて見ていきます。
第6章では、
地域文化とのかかわりを考えましょう。
特に日本に絞ってやってみます。
第7章からは、
具体的な作品に依拠しながら、
ゾンビと人間の関係性について考えていきます。
どうです?
「『ゾンビ学』、分厚すぎて読みたくない!」
と思っているそこのあなた。
わりと読みやすそうかも、
と思っていただけましたか?
論文やレポートで
「方法を書け」と言われて
「なんのこっちゃ」と思っていた方、
どういうことを書けば良いのか、
何故書かねばならないのか、
ご理解いただけましたでしょうか。
それでは、次回は
第3章「ゾンビの歴史」でお会いしましょう!
本書を書くに至った動機や、
本書の目的、背景、
そして、先行研究の整理、
などについて書かれていました。
この記事では、
『ゾンビ学』(人文書院)の
「第2章 フレームワーク・オブ・ザ・デッド」
について説明していきます。
論文やレポートでは、
「方法」と呼ばれるセクションになります。
本全体との関係を
常に意識してもらうために、
章立てを再掲しておきますね。
**********
はじめに
第1章 ゾンビ学入門
第2章 フレームワーク・オブ・ザ・デッド
第3章 ゾンビの歴史
第4章 マルチメディア・ハザード
:メディアの発展とゾンビ・コンテンツ
第5章 ゾンビとゲーム
第6章 日本のゾンビ文化考
:りびんぐでっど in 日本
第7章 ゾンビの特徴とその進化
第8章 ゾンビと日常/非日常
第9章 地獄の歩き方
:ゾンビと空間・場所・時間
第10章 ゾンビ/人間
第11章 死霊のたびじ
おわりに
**********
第2章では、
『ゾンビ学』において、
どういう方法を使って
対象を分析していくか、
を具体的に書いています。
論文やレポートで「方法」を書くように、
と言われたら、自分の論文やレポートを
書く際に、どのような方法を使ったのか、
を書かねばなりません。
「鉛筆で書きました。
原稿用紙に。」
「私は、図書館にいって
パソコンで書きました。」
「俺は、スマホ」
「夢の中で…」
「とりま、コピペで」
「それな」
「それな」ではありません!!
コピペはいけませんよ。
コピペは!!
「方法」と言っても、
何を使って書いたか、
どこで書いたか、
といった方法ではありません。
論文で研究する対象について、
どういう方法を使って
分析、考察をしていくのか、
ということです。
第1章でも書いていますが、
たとえば、「紙を切る」という課題に対して、
どんな方法があり得るか、
これを考えると分かりやすいです。
「紙を切る」ためには、
どんな方法があるでしょうか。
シンプルに手で切る、
道具を使ってハサミで切る、
カッターナイフで切る、
シュレッダーを使う、
チェーンソーを使う、
コンピュータを使う…。
チェーンソー?
コンピューター?
また冗談を…。
と思われるでしょうか。
でも、もしかすると、
紙は紙でも、
ものすごく分厚いものかもしれないのです。
厚さ1mでしたら、素手やハサミ、
カッターナイフなど
ちゃんちゃらおかしい、わけです。
そこで、チェーンソーですよ。
おお、これは切れそう!!
ですよね?
では、コンピュータは?
切るべき紙は、
プログラムで作られた
コンピューター内の「紙」かもしれません、
そうすると、素手からチェーンソーまで、
物理攻撃は意味をなしませんね。
コンピューターそのものを
破壊することはできるでしょうが、
そうすると紙は
「切れた」
というより
「消滅した」
ことになるでしょう。
コンピュータ内の紙は、
コンピュータのプログラミングで
切る他無さそうです。
一休さんのとんち話
みたいになってきましたが、
この比喩には、
研究の「方法」についての
エッセンスが詰まっています。
方法は、研究の目的と対象によって、
設定されるものなのです。
たとえば、紙を切る目的が、
子どもを喜ばせることだとしましょうか。
厚さ1mの紙を
チェーンソーでぶった切ったら、
子どもは喜ぶでしょうか?
ぎゅい~んっと。
お子さんの性格によっては
大喜びかもしれませんが、
ちょいとリスクが高そうですね。
音がうるさいので大泣きの可能性もあります。
また、厚さ1mの紙とチェーンソーを
常備している人なら良いですが、
そうでなければ、
それらを準備する必要もあります。
どうも、一般的な方法とは言い難そうですね。
あまり推奨できそうにありません。
そして、何より、
周りの常識的な大人に止められるでしょう。
この目的を達成するために
妥当な対象と方法として、
以下のものが考えられます。
市販されている色紙を用いて、
ハサミを駆使し、
ネコや犬などの
わかりやすい形に切ってみせる、
というのはどうでしょうか。
これなら素材や道具の入手可能性も高く、
技術的にもなんとかなりそうですし、
子どもを喜ばせる、
という目的も達成できそうです。
ちょっと角度を変えて、
使う道具や手順を
変化させてみましょうか。
まず、
紙にかわいいネコの絵を描きます。
ここに取り出したるは
シュレッダー!!
これを使って、
ネコを描いた紙を切ります。
ざざざーっと。
もはや何が描いてあったか
わからないほど、
バラッバラです。
子どもが泣くわ!!!!
ということで、
研究を実施する際には、
研究の目的に合わせて、
最適な対象を、
的確な方法で分析する必要がある、
ということがご理解いただけたでしょうか。
ゾンビ学全体の範囲としては、
第1章で、かなり広いことを確認しました。
ゾンビの存在についても、
現実的存在、虚構的存在、概念的存在
が考えられました。
第2章では、
コンテンツで描かれるゾンビをメインに
分析していくことを述べています。
虚構的なゾンビ(人を食うゾンビ)
をやっつける方法とか、
ゾンビから身を守る方法とか、
そういうことを研究したいのだ!私は!!
という人もいますよね。
私も、大変関心があります。
でも、この場合、方法はどうしましょう。
最適と考えられる方法は、
生きているゾンビ
(死んでいるので、動いている?かな)
を用意し、少なくも街一つくらいは
ゾンビだらけにしていただいて、
その中で、サバイバルしてみる
というものでしょう。
この方法で得られた結果を論文や本にまとめれば、
素晴らしい成果になりそうです♪
読んでくれる人間が生き残っていれば、
ですけどね!!
この方法は、周りの人に迷惑をかけすぎです。
人間が滅亡する可能性すらあります。
そもそも自分も生き残れる保証がなく、
研究成果が出ない、可能性も割と高いです。
では、どうするのか、
虚構的な(人を食う)ゾンビが存在したと仮定し、
シミュレーションをしてみる他ありません。
その際には、災害対策や防犯、
ゾンビは人間の形をしているわけですから、
対人間相手の格闘術などを応用できるわけです。
こうした知見を応用して、シミュレーションをする、
このような方法で、研究できますね。
そうした成果が書かれているのが、
『ゾンビ・サバイバル・ガイド』(エンターブレイン)
です。
『ゾンビ学』では、
主にコンテンツ内のゾンビを分析していきます。
そのための方法が書いてあるのが、
第2章というわけです。
方法を書く時に重要なのは、
「読んだ人が、その方法を
自分でも実施できるように書く」
ことです。
何故かといいますと、
それが書かれていなければ、
著者以外の人間が、
研究成果が正しいか、
試してみることができないからです。
たとえば、
私が
「私は、ゾンビの製造方法を発見した。」
「このゾンビを活用することで、
エコな発電を可能にした。」
と主張したとしましょう。
まぁ、きっと、
世界中が注目しますね。
すみません。
ノーベル賞候補になっちゃうかもしれません。
ですが、良識的なある人が
「そんなこと本当にできるの?」
「どうやったの?」
と疑問に思ったとします。
あるいは、
「それはすごい。わが社で商品化したい」
「国策としてゾンビ発電に予算を投入したい」
と考える人が出てきたとします。
私に
「どういう方法で作れたのか」
と問い合わせるでしょう。
その時、
「それはね、
ひ、み、つ!!!」
とやってしまうと、
まぁ、総スカンですよね。
そもそも、本当にできたのかよ、
ということになって、
物をぶつけられるでしょう。
そういうわけで、
方法では、読んだ人が同じやり方で
再度正しさを検証できるような
記述をする必要があります。
「第2章 フレームワーク・オブ・ザ・デッド」では、
ゾンビ・コンテンツの分析枠組みとして、
●時間の推移
●空間とその移動
●キャラクターと社会の変化
を設定しました。
ここに注目して分析してみましたよ、
ということですね。
さらに、第3章以降の章が、
どのように展開していくのかも書いています。
第3章では、
ゾンビの歴史的変遷について整理しました。
歴史的変遷について整理すると、
ゾンビが広く知られるようになっていく際、
様々なメディアが登場し、
それぞれで特徴的な発展を遂げていました。
また、ゾンビ・コンテンツは国や地域を超えて
拡がり、それぞれの文化と融合して、
新しいものが出来てくることが分かりました。
このことから、
第4章では、
コンテンツを流通させる「メディア」に注目をし、
それぞれのメディアとゾンビの関係性を考えます。
第5章では、
メディアの中でも「ゲーム」に絞って、
ゲームとゾンビの関わりについて見ていきます。
第6章では、
地域文化とのかかわりを考えましょう。
特に日本に絞ってやってみます。
第7章からは、
具体的な作品に依拠しながら、
ゾンビと人間の関係性について考えていきます。
どうです?
「『ゾンビ学』、分厚すぎて読みたくない!」
と思っているそこのあなた。
わりと読みやすそうかも、
と思っていただけましたか?
論文やレポートで
「方法を書け」と言われて
「なんのこっちゃ」と思っていた方、
どういうことを書けば良いのか、
何故書かねばならないのか、
ご理解いただけましたでしょうか。
それでは、次回は
第3章「ゾンビの歴史」でお会いしましょう!
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